2013-10-16
小野不由美ブームは続き、ゴーストハントの改訂版も、何冊か読んでみました。
しかしこれは、以前の少女小説文庫の方が面白かった気がします。大幅な加筆修正は要らなかったのではないのか、と。怪異の種類が増えて解説が詳細になって、そのために以前の読みやすさが減じて、なんか煩雑になった感じです。どのエピソードが誰の体験だったか、ゴチャゴチャしてきて。
なんでこんな感じになってしまうのか。
これを読んで、なんか分かった気がしました。
山本周五郎賞を受賞した、「残穢」。
二十一世紀に首都圏で起こった怪異の調査をしているうちに、関連が有るような無いような怪談話がどんどん出てきて、しまいに明治大正期の九州の怪談にまでつながっていく話です。
怖いです。不気味です。語りは淡々としているのですが、語り手の女性作家って明らかに小野不由美ご本人で、人物名は「仮名」でありますが、時間の経過とかに曖昧さがなく記録っぽい書き方で、まるでノンフィクションのようです。
それに加えて、読み進めていくうちに、「こんなに次々怪談つながっていったら、不可抗力で自分のところにもお化け出てくることありえるやん」という気に、なってくるのです。
最初に語られる怪異の体験者が、私と同じく一人暮らしの三十代の女性ってことも、変に怪談が身近に感じられてしまう原因かもしれません。窓の外や、部屋の隅の暗がりに警戒の目を向けてしまいます。
とにかくこれは、バックミュージックなどかけずに、夜間に一人、布団にくるまって読むのがベストです。
とか言いながら、私は途中で寝ちゃって、続きは日の光の下で読んだのですが。
終盤になってくると、怪異現象は大きくなってくるのですが、心理的な怖さは薄れてきます。だんだん、人間が精神を病むのもそのために悲惨な事件が起こるのも全部怪異の影響みたいに思えてきて、そんな風に思う自分に逆に冷めていく感じです。
目の前の現実に、シャンとして向き合うこと。
それと同時に、目には見えない部分にも、畏敬の念を持つこと。
この二点にが、「残穢」に対抗する手段なのでしょう。
でも、どうやっても対抗しきれないような、「強大な怪談」に触れてしまったら・・・・・・
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