「家族のことを想うとき」
2020-01-02


新年一発目の映画鑑賞は、貧困問題だ!怠けているんじゃなくって、夫婦共働きなのに負債は増える一方な、ワーキング・プアってやつですね。
映画の主人公と同様の働き方は日本でもあって、わりと最近の新聞記事にあった。大手運送会社に「自営業」として契約した配達人が過労で倒れ、親会社の労働監督義務を問うという。
この邦題のつけ方のセンスの無さには寒気がしますが(日本人は社会ネタには合わずファミリーものしかウケないってことなのか)、完全に的外れでもない。忙しすぎて家族としっかり向き合う時間もなく、家庭内にイライラが溜まっていくのだ。Sorry, I missed you.
何が悪いのか。不良やっている長男だって困った反抗期だけど根は悪くないヤツだ。運送会社の人は乱暴な物言いをするけど利益追求の職分に忠実なだけとも言える。
自己責任。そこに全てを持って行く社会の仕組みの、嫌な感じを積み重ねていく。
そんな出口のない状況にもがく人々が、「EU離脱すればなんとか良くなるんじゃないの」と考えるのだろう。根拠は乏しいと思う。ユーロも移民も無い日本だって同じような配達形態があり「かろうし」なんて恥ずかしい単語が国際語にされてしまうのだから。
大切なものは、何なのか。
移民やシングルマザーや貧困など、弱い立場の人々を取り上げてきたケン・ローチ監督。今回はまた、とびっきり地味で、救いのない閉塞感に満ちた映画だ。
この監督が、日本のいちフランチャイズコンビニ店長が大会社の社長の首を飛ばすまでの影響を及ぼしたって聞いたら、どう思うだろう。もう少し希望の見える作品を撮ってくれるだろうか。

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