「文豪、社長になる」
2023-10-08


昭和後期から平成へかけての芸能界名物社長が悪鬼のごとく叩かれている今日この頃。
大正から戦中にかけて文学界の大物社長の「史実に基づくフィクション」を。
社長が文豪っていうか、社長の周辺が文豪や文芸作品だらけっていうか。名前だけですが、
吉野源三郎「君たちはどう生きるか」も出てきました。
著者の門井慶喜氏は、18年に「銀河鉄道の父」(未読)で直木賞受賞しましたが、その賞の創設者の伝記小説を書くことに。文藝春秋創刊100周年記念事業ってやつですね。
初めて読む作家さんですが、伝記小説を書くのにぴったりというか、読みやすく、親しみやすさを感じさせる文章です。主人公である、菊池寛の人となりの影響かも知れません。
こういうおっちゃん、いるよなあ。
情に篤く面倒見が良く、豪快で楽観的で、打算的だけどどこかお人好しで、良くも悪くも俗っぽい。友人の芥川龍之介が自殺して、その遺児・比呂志へかけた言葉が「お金のことは、心配するな」だもの。文豪っぽいイイ台詞ではないけど、社長っぽい頼りになる台詞。
そんな人だから、お調子よく、時流に乗って、「ペン部隊」。この頃は大半の日本人がそうだったのでしょうが、軍部に協力したとして公職追放されたりしますが。
人の栄枯盛衰喜怒哀楽、文藝って、楽しい。
[読書]
[作家別カ行]

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