「ファーザー」
2023-05-28


祝!役所広司カンヌで男優賞!いい役者さんなのだから、もっと注目されてほしいと思っていた。ヴィム・ヴェンダース監督ありがとう。

お忘れですか?
20年米アカデミー賞、納得の、アンソニー・ホプキンスの演技力。
ストーリーは、はじめ、わけがわかりません。時間経過も場所も基本設定も、でたらめに変化していく。同じ台詞が、似たような間取りの空間が、ちょっとずつ、シチュエーションを変えて繰り返される。
これ、認知症のお父さんの認識する世界、なのです。認知症モノの小説映画等数々ありますが、たいていは、介護する人の視点で描かれます。当の本人は、なんというか、不定期でパラレルワールドを移りまくっていくような感じで。
どこまでが現実に起こったことで、どこまでがお父さんの妄想なのか。いちおう、お父さん不在で娘さんたちがお話しするシーンは、過去のどこかの段階で実際にあったことなのだろうと解釈していますが。
もちろんご家族にとってもたいへんなことですが、いちばんわけ分からなくって混乱して心細いのは、お父さん自身なのでした。認知症性うつ、という症状は、じつは、珍しくもないことで。
ちょっと、泣けてきました。

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