2014-09-14
主人公はアラサーのニート。それも、「生活費のために働くなんて下劣なことであってそんなことはしない方がよいのだ」とか屁理屈こねる、ニートの中でも性質の悪い部類であるインテリ系なのでした。
親が財産持ちなので毎月実家へ行って生活費を受け取っていて、家族からブラブラしていることを咎められても縁談を持ちかけられてもノラクラと応対する。
しかし、数年ぶりに再開した友人が、仕事を失くして負債を抱えていると聞いても、ニート主人公にはまとまった金銭を用立てることはできません。それでも、友人のためにではなくその奥さんである三千代さんにイイトコ見せたくて、主人公は兄嫁の梅子さんにお金を都合してもらえるように頼みます。
その時の梅子さんの御返事が「いったいいつ返してくれるっていうんですか」「普段偉そうなことを言っていてもこういう時には頭を下げるしかない」・・・・いいぞ梅子さん、もっと言ってやれ、梅子さん。
漱石の小説の主人公って、ウジウジしたダメ男ばっかりなのですが、彼はとびぬけてショボイ。鋭すぎる故に、って書かれ方ですが、要するに頼りない男です。
話はやがて、
今のユルユル生活を維持するために親の薦める縁談(金持ちの娘さん)に乗るか、
生活費供給や社会的信頼を失くしても愛のままにワガママに僕は君だけを略奪愛か、
の選択を迫られることになってきます。「働きたくない(働けない)」「でも三千代さんとの愛は大事」いろんなことをイチイチこむずかしく理屈をつけるのですが、そこを柔らかく翻訳しながら読んでいくと、結構笑えます。
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