「あなたへ」
2012-09-16


亡くなった奥さんは、何を考えていたのか。刑務所で慰問コンサートを行っていた真意は、獄死した男との関係は、回りくどいやり方で夫に絵手紙を出したのは何故か、自分の遺骨を散骨して欲しいと願ったそのワケは?
その辺を、表に出さないままで終わってしまった映画。不完全燃焼な感じが否めず、後で本屋で原作本をチラ見してラストを補完しました。
老年者(高倉健ももう、すっかりジイさんになってしまって)のラブストーリーかと思ったのですが、なんか、違います。
行く先々で亡くなった奥さんの思い出を回想しているので、それっぽい感じも無くはないのですが、多分、この映画は原作とは違う方向性で描かれているんじゃないでしょうか。
散骨のシーンは美しく描かれましたが、そこがクライマックスとは思えなかった。
宮沢賢治の詩が歌われていたと思えば、締めくくりは山頭火。
主人公は自家製キャンピングカーに乗り込み、遺骨を散骨するために妻の故郷へ向かう、ロードムービー。ロードムービーって、旅先での出会いが重要になってくる映画ですが、そこに作為的なわざとらしさが出てしまいがちで、上手く作るのは難しいんじゃないかと、思ったりします。
主人公が出会った三人の男たちの、それぞれに抱えた、孤独。
帰る場所を失って、放浪を続けるしかなくなった、男たちの物語。
それを、自由と呼ぶのだろうか……
[映画タイトルア行]

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