「ヴィラ・マグノリアの殺人」
2010-10-03


若竹七海の特徴は、作品内にちりばめられた「毒」です。この世の「悪」「不愉快」「下劣」といったマイナス要素を「皮肉」でまとめ上げつつ話が進行していくのですが、しかしその中に、独特のユーモアが漂う。
 犯人追跡シーンなんか、異様にハイテンションな喜劇として描かれて、ここは小説より映像向けな感じがしました。
 この黒いバランスを味わいつつ、事件発生と謎解きを楽しむのです。
 事件のあった住宅地の個性豊かな人々を調べていくうち、彼らの抱えるあれやこれやの問題ごと、人間関係の渦が次々と発覚していくサマは、クリスティーの作品(特に、マープル物)に通じるものがあります。
 最後はちょっとヒネリすぎ(というか、うまくいきすぎ)な気もしましたが。
[読書]
[作家別ワ行]

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