2010-09-26
最近世界史の資料集を眺めていたこともあって、色々歴史のエピソードを思い出します。
1931年9月、日本軍の自作自演の鉄道テロを中国のやったことだと言い張って、まるっきりヤクザのようなケンカの売り方した柳条湖事件。
あるいはドイツ。チェコスロバキアのズデーデン地方はうちの領土だ(ドイツ人が多く住んでいた)とゴリ押しして、1938年のミュンヘン会議、それを各国が了承してしまった。調子に乗ったナチス・ドイツは翌年にはチェコスロバキアを<保護国>にし、ポーランドに侵攻し……
2009年の冬に観た映画。
その頃のチェコが舞台。
運命は皮肉。幸運は不運の裏返し、不運は幸運の裏返し。
ドイツの「保護領」にされ、心ならずもナチ将校たちに給仕せねばならなかったチェコ人達の屈辱の、裏返し。I Served the King of England
楽しい映画を観ようと思ったのですが、良質のコメディーというヤツは、なかなか。
億万長者を夢見るヤンは、頭の切れるちゃっかり者のチェコ人青年。コインをばら撒いて、人々が地面に四つんばいになって拾うのを見るのが彼の楽しみ。
映画の前半は、彼が給仕する金持ちたちの様子や女達のエロティシズムが、陽気な音楽と共に明るく描かれています。人間の欲と性を、皮肉交じりのおおらかさで見せているのですが。
チェコ人に絡まれるドイツ人女性を救うあたりから、皮肉の中の哀愁が強くなります。
夫となるヤンを素通りして、ヒトラーの像に注がれる敬愛の眼差し。
チェコ人のヤン前で、至極真面目に純粋に語られる選民意識。
ホテル経営の夢のために、移送されたユダヤ人の家から高額切手を集めてきて、それを守るために爆撃にさらされる家屋へ飛び込んで・・・・・・
戦後、念願の億万長者になったと思ったら、チェコは社会主義国家に。
部屋に並べた鏡にうつる、幾つものヤンの姿はとても孤独で。
それでも彼は、美味そうにビールを飲む。
歴史の授業ってたいがい、近代史は駆け足でささっと終ってしまうのですが、20世紀からしっかり学ばないと21世紀を見誤るんじゃないでしょうか。
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