「パレード」
2010-03-18


好きな俳優が出演していたし。
 先月観た行定勲監督の「今度は愛妻家」が大変感動できたし。
 ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を取ったし(主演女優賞な寺島さんの影に隠れちゃったけど)。
 という理由で凄く観たかった映画でした。
 四角いTVの中のドラマ。四角い部屋の中の現実。都会の片隅でルームシェアする若者たちの姿に、通り魔事件の影がちらつく……
 なんというか、絶妙というべきか微妙というべきか。最初の方は青春群像っぽいところも在ったのですが、どんどん不気味な面が見えてきて、ラストシーンはサスペンスを通り越してホラーでした。現代の若者たちの「居心地の良いなあなあな人付き合い」を突き詰めると、こんなにも恐ろしくなるものなのか。
 「好き<みたい>っていうのは、照れだよ!」
ってな感じで、己の核心を率直に表現できない、むしろそこを包み隠すことで心地よい人間関係を築いている連中ですが、でも、その一方で、飾らない本心をどこかで吐き出したい気持ちも、あるんです。
 藤原達也演じるしっかり者の直樹が、その受け止め役に回ることが多いのですが、皮肉にも、彼自身が誰よりも、自己発露が下手だったのでしょう。そいつが歪んだ方向に出てしまいます。
 逆に、虚と実のどちらもアッケラカンとして行き来しているのが林遣都演じるサトルで、なんかもう何処までも自由でつかみどころが無くて、最年少にして一番悟ったキャラクターとなっています。
 五人の主要人物たちは、みんなハマっていて良かったです。貫地谷しほりが驚きの可愛らしさでした。大河ドラマでは凛とした女剣士なのに、なんかフンワリした女の子になっていました。役の幅広いなあ。
 吉田修一の原作は、読んでみたいような読みたくなんか無いような。映画のイメージを原作で壊したくない、という稀有な例です。
 説明的なものがホトンド無いのでイロイロ解釈の余地もありそうです。もう一度、観たい映画。
[映画]
[映画タイトルハ行]

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